STEP 01 / COUNT
まず実数で数える。7年間で人が増えた街はどこか
住民基本台帳人口移動報告から、2019年から2025年までの7年間の転入者数と転出者数を自治体ごとに足し、その差(転入超過数)を数えました。他の市区町村との出入りだけの数字で、国外との出入りは含みません。まず実数のまま並べます。
FIG. 017年間の転入超過数 首都圏TOP20(2019〜2025年の合計)さいたま市の区ほぼ都内(県境の街)ギリ都内(23区の外縁)その他の首都圏
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住民基本台帳人口移動報告の日本人・外国人を含む移動者。転入超過数=他市区町村からの転入者数−他市区町村への転出者数。国外からの転入・国外への転出は含まない。対象は首都圏の人口5万人以上の172市区町村。
実数の1位は足立区で28,409人。2位以下も大田区・練馬区・江東区・世田谷区と東京23区が並び、TOP20のうち13自治体が東京都です。さいたま市で最も多いのは緑区の11,692人(23位)、次いで大宮区10,667人(28位)。浦和区は6,161人で56位でした。ただしこの並びは、人口の多い街ほど上に来ます。足立区は人口695,043人、緑区は128,321人。規模が7倍違う街を同じ表で比べても、街の勢いは分かりません。
STEP 02 / PER CAPITA
人口で直す。1,000人の街に何人増えたか
転入超過数を、その街の人口(令和2年国勢調査)1,000人あたりに直しました。7年間で人口の何パーセントが増えたかを表す数字です。
FIG. 027年間の転入超過率 首都圏TOP20(人口1,000人あたり)さいたま市の区ほぼ都内(県境の街)ギリ都内(23区の外縁)その他の首都圏
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転入超過数 ÷ 令和2年国勢調査の人口 × 1,000。2019〜2025年の合計。
人口で直すと顔ぶれが変わります。1位は中央区(106.4人)、2位は流山市(103.1人)、そして3位がさいたま市緑区(91.1人)、4位が大宮区(90.6人)です。実数で1位だった足立区は31位に下がります。さいたま市からはTOP20に緑区・大宮区・西区・見沼区の4区が入りました。7年で人口の9%が転入超過で増えるというのは、10年で1割の人が入れ替わる速さです。
転入超過率が低い自治体(人口が流出している街)を見る
STEP 03 / TIMELINE
年で割る。コロナで街の順位は入れ替わった
7年の合計は、途中の入れ替わりを隠します。年ごとの転入超過数を並べると、2020年からの2年間と、2023年以降で流れが逆を向いていることが分かります。
FIG. 03年ごとの転入超過数(2019〜2025年)さいたま市の区ほぼ都内(県境の街)ギリ都内(23区の外縁)その他の首都圏
住民基本台帳人口移動報告の各年の転入者数−転出者数。網かけは2020〜2021年(新型コロナウイルスの流行期)。
コロナ流行期に伸びたのは郊外でした。流山市は2020〜2021年の2年で7,956人、印西市は3,386人の転入超過。一方で板橋区は1,078人、足立区は4,561人にとどまり、東京23区の伸びは止まっていました。それが2023〜2025年の3年で逆転します。板橋区は13,656人、足立区は16,953人と急増し、流山市は5,501人に減速、印西市は-1,757人とマイナスに転じました。
FIG. 04コロナ期と直近3年で、転入超過はどう変わったかさいたま市の区ほぼ都内(県境の街)ギリ都内(23区の外縁)その他の首都圏
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左は2020〜2021年の2年合計、右は2023〜2025年の3年合計。年数が違うので、線の傾きではなく上下の入れ替わりを見る図。
さいたま市も同じ形です。浦和区は2020〜2021年の2,801人から2023〜2025年の1,040人へ、川口市は4,347人から3,391人へと減りました。都筑区(1,636人→-347人)と印西市はマイナスに落ちています。その中で大宮区は3,461人から3,505人と、コロナ後も水準を保った数少ない街です。郊外へ広がった人の流れが、都心へ戻った。この3年はその戻りの途中にあります。
STEP 04 / PRICE
値上がりと結ぶ。人が増えた街は、高くなった街か
人の動きと同じ街で、今度は㎡単価の動きを並べます。前の図と同じ7つの街の中古マンション㎡単価を、2006年から2025年まで3年移動中央値で追いました。
FIG. 05中古マンション㎡単価の推移(2006〜2025年・3年移動中央値)さいたま市の区ほぼ都内(県境の街)ギリ都内(23区の外縁)その他の首都圏
国土交通省 不動産情報ライブラリ 不動産取引価格情報・成約価格情報(中古マンション等)を自治体全域で集計した㎡単価の中央値。前後1年を含む3年の移動中央値で、件数3件未満の年は線を切っている。破線はさいたま市の対照2区(見沼区・西区)。
20年で最も上がったのは流山市で、19.5万円から60.0万円へ3倍を超えました。大宮区は30.9万円から72.5万円へ、浦和区は44.0万円から71.9万円へ。一方で見沼区は18.6万円から21.3万円とほとんど動かず、西区は18.5万円から14.9万円へと20年前を下回っています。人の増え方では西区が首都圏5位、見沼区が16位。人は集まり続けているのに、線は横ばいのままです。
この2つを1枚に重ねます。横軸に7年間の転入超過率、縦軸に㎡単価の10年変化(2013〜2015年の中央値と2023〜2025年の中央値の差)をとりました。成約件数が少なく中央値を出せない自治体を除いた156自治体です。点線はそれぞれの中央値で、右上ほど「人も増え、値上がりもした街」です。
FIG. 06転入超過率 × 中古マンション㎡単価の10年変化さいたま市の区ほぼ都内(県境の街)ギリ都内(23区の外縁)その他の首都圏
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横軸は2019〜2025年の転入超過数を人口1,000人あたりに直した値。縦軸は2013〜2015年と2023〜2025年の㎡単価の中央値の変化率(件数8件未満の自治体は除く)。点線は156自治体の中央値(25.6人・+36.5%)。
2つの数字の相関係数は0.34でした。正の相関はありますが、強くはありません。右上(人も増え、値上がりもした)に入るのは49自治体で、流山市(103.1人・+190.1%)や大宮区(90.6人・+84.9%)がここにいます。一方で右下(人は増えたが値段は動かない)が27自治体あり、さいたま市西区(81.3人・+17.3%)と見沼区(50.4人・+15.4%)がその代表です。西区は転入超過率で首都圏5位に入る「人が集まる街」ですが、㎡単価の伸びは+17.3%にとどまります。左上(人は増えていないが値上がりした)も28自治体あります。
人が増えれば必ず値上がりする、とは言えません。増えた人がどんな住まいを選んだかで、中古マンションの相場は変わります。戸建てが多い区に子育て世帯が入っても、マンションの成約価格は動きにくい。西区と見沼区の位置は、その違いを表しています。
STEP 05 / SAITAMA
さいたま市10区。人の増え方と値段の上がり方は区ごとに違う
さいたま市の10区を、7年間の転入超過率の順に並べました。右に㎡単価の10年変化を添えています。
FIG. 07さいたま市10区の転入超過率(人口1,000人あたり・7年合計)横にスクロールできます
2019〜2025年の転入超過数 ÷ 人口 × 1,000。区名の右は首都圏172自治体の中の順位と、㎡単価の10年変化。
さいたま市10区の人の動きと中古マンション相場| 区 | 7年の転入超過 | 1,000人あたり | 首都圏順位 | 2020〜2021年 | 2023〜2025年 | ㎡単価(直近3年) | 10年変化 |
|---|
| 緑区 | +11,692人 | 91.1人 | 3位 | +4,115人 | +4,598人 | 36.8万円/㎡ | +57.7% |
|---|
| 大宮区 | +10,667人 | 90.6人 | 4位 | +3,461人 | +3,505人 | 72万円/㎡ | +84.9% |
|---|
| 西区 | +7,605人 | 81.3人 | 5位 | +2,452人 | +2,233人 | 16.8万円/㎡ | +17.3% |
|---|
| 見沼区 | +8,316人 | 50.4人 | 16位 | +2,734人 | +3,608人 | 20万円/㎡ | +15.4% |
|---|
| 北区 | +7,149人 | 47.9人 | 21位 | +1,789人 | +3,487人 | 38.6万円/㎡ | +60.7% |
|---|
| 浦和区 | +6,161人 | 37.4人 | 37位 | +2,801人 | +1,040人 | 72.7万円/㎡ | +67.1% |
|---|
| 岩槻区 | +4,061人 | 36.3人 | 41位 | +1,959人 | +1,413人 | 31.4万円/㎡ | +146.2% |
|---|
| さいたま市中央区 | +2,663人 | 25.8人 | 79位 | +759人 | +543人 | 56.4万円/㎡ | +46.5% |
|---|
| 桜区 | +2,137人 | 21.7人 | 92位 | +721人 | +911人 | 34.3万円/㎡ | +51.3% |
|---|
| 南区 | +4,157人 | 21.7人 | 93位 | +658人 | +1,287人 | 60万円/㎡ | +69.6% |
|---|
浦和区は7年で+6,161人、㎡単価は+67.1%。人の増え方では37位と中位ですが、値上がりでは市内の上位です。大宮区は人の増え方(4位)も値上がり(+84.9%)も高く、この7年で最も動いた区でした。緑区は転入超過率が市内1位(首都圏3位)ですが、㎡単価は+57.7%と大宮区に届きません。人が増えている区と、マンションが高くなった区は、さいたま市の中でも一致していません。
SUMMARY
まとめ:人の増加と値上がりの相関は0.34。同じ方向だが、重なってはいない
4つの見方の答え| 見方 | 答え |
|---|
| 実数 | 7年の転入超過は足立区28,409人が1位。さいたま市は緑区11,692人(23位)・大宮区10,667人(28位) |
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| 人口で直す | 1,000人あたりでは中央区・流山市に次いで緑区3位・大宮区4位。浦和区は37位 |
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| 年で割る | 2020〜2021年は郊外(流山市7,956人)、2023〜2025年は23区(板橋区13,656人)。印西市・都筑区はマイナスに転落 |
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| 値上がりと結ぶ | 相関0.34。人が増えても値段が動かない街が27自治体(西区+17.3%・見沼区+15.4%) |
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この記事のまとめ人が増えた街は、たしかに値上がりしやすい街です。しかし相関は0.34で、街ごとの判断材料としては弱すぎます。さいたま市では緑区と西区が人を集め、大宮区と浦和区が値段を上げました。集まる人の数と、その人が買う住まいの種類は別のものです。街を選ぶときは「人気があるから上がる」ではなく、その街で実際に何が成約しているかを見た方が確かです。
続き:浦和区に来た人はどこから来たのか。5年前の住所で追う→同じ予算なら、どの街が強いか。埼玉の子育てしやすい街を階級別で戦わせる→浦和区の土地・中古マンション・戸建てを20年で見る→HOW TO READ
使った数字と読み方
人の動きは住民基本台帳人口移動報告(2019〜2025年)の転入者数と転出者数の差です。他の市区町村との出入りだけを数えた値で、出生・死亡による増減や、国外との出入りは含みません。人口は令和2年国勢調査の値を使い、7年を通して同じ人口で割っています。
相場は国土交通省の成約データを自治体全域で集計した㎡単価の中央値です。10年変化は2013〜2015年から2023〜2025年への変化率で、築年・面積・駅距離は揃えていません。件数8件未満の年・自治体は中央値を出していないため、散布図は156自治体、折れ線は線が切れている箇所があります。対象自治体の直近3年の成約は71,765件です。
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