空き家の固定資産税は本当に6倍になる?勧告後の税負担
市から指導書が届きました。来年から固定資産税が6倍になるのでしょうか?
相続した実家を空き家のままにしていたところ、市役所から管理についての指導書が届きました。書面には、改善しなければ勧告を行うことがあり、固定資産税の住宅用地特例から外れると書かれています。インターネットでは「空き家の固定資産税は6倍になる」と見かけました。指導書が届いた時点で税金が上がるのでしょうか。来年から本当に6倍になるのでしょうか。
指導の段階では特例は外れません。勧告後も、納付額が必ず6倍になるわけではありません
管理不全空家等について、固定資産税の住宅用地特例から外れるのは、市から「勧告」を受けた後です。指導書が届いただけで、すぐに特例が外れるわけではありません。
「6倍」といわれるのは、200㎡以下の小規模住宅用地では、土地の固定資産税を計算する課税標準が価格の6分の1に抑えられているためです。勧告によってこの計算を使えなくなっても、土地の固定資産税、都市計画税、家屋の固定資産税を合わせた納付額が一律に6倍になるわけではありません。
まず書面の名称と本文を見て、いまが「指導」なのか「勧告」なのかを確かめます。そのうえで、市の空き家担当へ改善内容を尋ね、資産税担当へ特例が外れた場合の概算を確認します。
税額を考える前に、確認したいことは3つです
- 届いた書面は「指導」ですか、「勧告」ですか?「管理不全空家等への指導」「助言・指導」と書かれている段階では、住宅用地特例は外れません。指導を受けても改善されず、市から具体的な措置を「勧告」された場合に、特例の対象から除かれます。封筒を含めて書面を残し、発信日と到着日も分かるようにしておきます。
- 納税通知書で、土地と家屋を分けて見ていますか?住宅用地特例は土地に対する特例です。家屋の固定資産税が同じ仕組みで6倍になる制度ではありません。固定資産税納税通知書や課税明細書が手元にあれば、土地と家屋の評価額・課税標準額・税相当額がどの欄にあるかを分けて確認します。
- 土地は200㎡以内ですか。都市計画税も課税されていますか?住宅1戸につき200㎡までの部分と、それを超える部分では特例率が違います。市街化区域などで都市計画税が課税される土地は、固定資産税とは別の特例率です。土地が複数筆ある場合や、共同住宅で戸数が多い場合、店舗との併用住宅である場合などは、課税明細書だけで計算せず資産税担当へ確認します。
「6倍」は、税額ではなく課税標準の説明から生まれた言葉です
固定資産税は、土地の価格へそのまま税率を掛けるとは限りません。住宅が建つ土地には住宅用地特例があり、まず税率を掛ける基礎となる課税標準を小さくします。
小規模住宅用地では、固定資産税の課税標準が価格の6分の1に抑えられています。この「6分の1」が使えなくなるため、「固定資産税が6倍」と説明されることがあります。
土地の価格を100としたときの本則上の課税標準の割合です。実際の税額や、勧告後の上昇率を表したグラフではありません。小規模住宅用地は住宅1戸につき200㎡までの部分、一般住宅用地はそれを超える部分です。
このグラフで比べているのは課税標準です。勧告後の実際の納付額には、土地の負担調整措置や自治体の条例による軽減、都市計画税の有無などが関係します。さらに、納税通知書の合計額には家屋分も含まれます。このため「いまの納付額×6」で来年の税額を単純に計算することはできません。
毎年の固定資産税は、原則として1月1日の状況を基準に課税されます。どの年度から特例の対象外になるか、改善した場合にどう扱われるかは、勧告日や市の確認時期によって異なります。空き家担当だけでなく、資産税担当へ土地の所在地と納税通知書の整理番号を伝え、個別に確認します。
指導・勧告・解体では、税金の扱いが違います
「市から手紙が届いた」「空き家を解体した」「勧告を受けた」は、それぞれ状況が異なります。いまどの段階にあるかを整理すると、急いで判断すべきことが見えてきます。
| 状態 | 住宅用地特例 | 確認すること |
|---|---|---|
| 管理についてのお願い・情報提供 | 直ちに外れる制度ではありません | 市が問題としている箇所と回答期限 |
| 管理不全空家等への指導 | 指導だけでは外れません | 勧告を避けるために必要な具体的措置と期限 |
| 管理不全空家等・特定空家等への勧告 | 対象の敷地は特例から除かれます | 適用年度、改善方法、市の確認と税額の概算 |
| 建物を解体して更地にした | 原則として住宅用地ではなくなります | 1月1日時点の状態、解体費、土地の税額と売却の見通し |
固定資産税の負担を避けるためだけに、急いで解体するのが適切とは限りません。建物を取り壊すと、通常はその土地も住宅用地特例を受けられなくなります。勧告を避けるための修繕費、解体費用、解体後の土地にかかる税額、現況のまま売る場合の価格を確認してから決めます。
一方で、屋根材の落下や倒壊のおそれがある部分は、税額の試算を待たずに安全を確保する必要があります。市が求める危険箇所への対応と、空き家を今後どうするかという判断は、切り離して進められます。
私なら、課税明細書だけで「6倍」とは判断しません

小野田 敦士
- 司法書士
- 行政書士
- 宅地建物取引士
最初に、届いた書面が指導なのか勧告なのかを確認します。指導の段階なら、市が求める改善内容と期限を確かめ、勧告へ進まないために何をすればよいかを整理します。
次に、固定資産税の課税明細書で土地と家屋を分けます。土地の面積、住宅の戸数、都市計画税の有無によって計算が変わるためです。具体的な金額は、市の資産税担当へ概算を確認します。
そのうえで、修繕や解体を頼む前に、いまの状態での査定額も確認します。税金が上がるかもしれないという理由だけで工事を決めず、必要な安全対策、工事費、空き家を残す期間、売る場合の見通しを順に考えます。
税金だけで工事を決める前に、いまの状態で売れるかを確認できます
- 指導書が「指導」「勧告」のどの段階かを確認します
- 現在の登記を確認し、相続登記が必要な場合はその手続きを進めます
- 修理や解体をする前の状態で、空き家を査定します
- 修繕・解体の見積りと、売却した場合の見通しを判断材料として整理します
具体的な固定資産税額や特例の適用年度は、所在地の市区町村が判断します。浦和ホームの査定は、売却や工事を決めるものではありません。売却を依頼しなくても、相続登記について相談できます。
修理や解体の契約をする前に、空き家がいまの状態でどのくらいの価格になりそうかを確認できます。
空き家の現況査定を始める売却を決める前でも利用できます/分かる範囲から入力できます空き家の固定資産税についてよくある質問
指導書が届いたら、次の納税通知書から特例が外れますか?
指導の段階では外れません。管理不全空家等または特定空家等として、市から勧告を受けた敷地が対象です。届いた書面の名称を確認し、分かりにくければ空き家担当へ現在の段階を尋ねます。
小規模住宅用地なら、土地の固定資産税は必ず6倍になりますか?
必ず6倍になるわけではありません。6分の1は課税標準の特例率です。実際の税額には負担調整措置などが関係し、納税通知書の合計には家屋分も含まれます。現在の税額に単純に6を掛けず、市の資産税担当へ概算を確認します。
勧告を受ける前に建物を解体すれば、税金は上がりませんか?
建物を解体すると、原則として土地は住宅用地特例を受けられなくなります。勧告を避けても、解体後の土地の税額が上がることはあります。解体費と現況査定を確認してから判断します。
勧告を受けた後に修理すれば、住宅用地特例はすぐ戻りますか?
工事をしただけで自動的に戻るとは限りません。勧告で求められた状態が改善したことを市へ報告し、市の確認を受けます。どの年度から特例が適用されるかは、空き家担当と資産税担当へ確認してください。
相続登記が終わっていなくても、税額の確認はできますか?
納税通知書や課税明細書があれば、記載内容を手掛かりに市へ確認できます。納税義務者の扱いや照会に必要な書類は自治体で確認してください。登記名義が亡くなった方のままなら、相続登記は別に進めます。