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相続した空き家を売る前に、修理するか迷っている方へ

空き家は修理して売る?そのまま売る?判断する順番

古い実家は、修理してからでないと売れないのでしょうか?

相続した実家を想定した相談例

相続した実家は長く空き家になっており、内装も設備も古くなっています。工事業者からは、屋根や水回りを直した方がよいと言われました。一方、不動産会社からは、そのままでも売れる可能性があると聞きました。修理すれば高く売れるのか、それとも修理代をかけずに売り出した方がよいのか、何から比べればよいでしょうか。

まず現況の査定を取り、修理する箇所はその後に決めます

古い空き家でも、売る前にすべてを修理する必要はありません。先に修理を始めると、その費用を売却価格で回収できるかを比べられなくなります。

まず、家財が残っていても、傷んだ箇所があっても、いまの状態で査定を取ります。同時に、落下や漏水など、放置すると危険や被害が広がる箇所を確かめます。その後で、必要な修理の見積りと、修理した場合に見込める価格や売却期間を確認します。

家をきれいにすることが目的ではありません。見るべきなのは、修理にかける費用と時間に見合うだけ、売りやすくなるかどうかです。

修理を頼む前に、確認したいことは3つです

  • その修理は、危険や被害の広がりを止めるためですか?屋根材の落下、雨漏りによる腐食、割れた窓からの侵入などは、売却準備とは別に対応を急ぐことがあります。市から指導を受けている場合は、書面で求められた箇所と期限も確認します。見た目を整える工事と、安全のための工事を分けます。
  • いまの状態なら、どのくらいの価格で売れそうですか?室内を片づけ、修理を終えなければ査定できないわけではありません。土地として検討する買主、改装を前提に探す買主、建物をそのまま使いたい買主では、見るところが違います。まず現況での価格帯と、想定される買主を確認します。
  • 修理によって、価格や売りやすさはどのように変わりますか?「直せば高く売れる」という説明だけでなく、どの箇所を、いくらで直し、どの程度の価格や売却期間を見込むのかを確認します。工事費に加え、工事中の固定資産税、管理費、保険料、草刈りなどの保有費用も続きます。予想どおりの価格で売れる保証はありません。

修理するかどうかは、この順番で考えます

  • 現況のままで査定を取る

    残置物、傷み、古い設備を隠さず伝え、現況の価格帯と売却方法を確認します。仲介で買主を探す場合と、不動産会社が買い取る場合では価格や条件が違うため、査定額だけでなく売り方も聞きます。

  • 危険箇所と、これ以上傷みを広げない箇所を分ける

    落下のおそれがある部材や漏水など、待つほど損傷が広がる箇所を確認します。売却するか未定でも、近隣への被害を防ぐ応急措置は先に必要になることがあります。

  • 必要な工事だけ、内容を分けて見積りを取る

    「売るための一式工事」ではなく、屋根、外壁、水回り、残置物撤去など、作業と費用が分かる見積りを取ります。傷みの範囲が分からない場合は、建築士による建物状況調査を検討できます。ただし、建物状況調査はすべての不具合や瑕疵の有無を断定するものではありません。

  • 修理後の見込みを、不動産会社へもう一度確認する

    見積書を見せ、修理によって想定する買主が変わるか、売出価格と成約の見通しがどう変わるかを聞きます。「工事費をそのまま価格へ上乗せできる」とは限りません。

  • 費用と時間を見て、修理する範囲を決める

    現況の査定、修理後の見込み、工事費、工事中の保有費用、売却までの期間を並べます。数字は確定値ではありません。大まかな違いをつかみ、どこまで費用をかけるかを決めます。

「そのまま」と「修理してから」の間にも選択肢があります

何も直さないか、家全体を改装するかの二択ではありません。空き家の状態と買主の探し方に合わせて、必要な部分だけ手を入れる方法もあります。

売り方向いている状況判断するときの注意
現況のまま売る工事費を先に負担したくない。土地や改装前提で検討する買主も想定できる傷みや不具合を把握している範囲で伝える。価格だけでなく契約条件も確認する
危険箇所や小さな不具合だけ直して売る被害の拡大を止めたい。内覧時の大きな支障を減らしたいどこまで直すかを見積書で限定する。工事が増えないよう追加費用の条件を確認する
ある程度まとめて修理して売る建物を使いたい買主が見込め、工事後の価格や期間に改善が見込める好みの分かれる内装へ費用をかけすぎない。工事費を売却価格で回収できるとは限らない
解体して土地として売る建物の再利用が難しく、土地で探す買主が中心になる解体前の査定も取り、解体費、住宅用地特例、補助金、相続空き家の税特例を確認する

査定額は売却を約束する金額ではなく、修理後の見込みも確定額ではありません。売出価格、成約価格、売却までの期間は分けて聞きます。工事費だけでなく、工事と販売にかかる期間も判断材料になります。

複数の相続人がいる場合は、大きな修理や解体を一人で契約する前に、現在の登記と相続関係を確認します。工事業者への支払いを誰がするか、あとでどのように精算するかも、相続人の間で決めて記録に残しておきます。

傷みの程度が分からないときは、建物状況調査も選択肢です

建物状況調査(インスペクション)は、所定の講習を修了した建築士が、基準に沿って建物の構造上主要な部分や雨水の侵入を防ぐ部分などを調べる制度です。修理の見積りや不動産査定とは別のものです。

建物を使いたい買主へ状態を説明しやすくなることがあります。一方、調査だけで住宅にあるすべての不具合が分かるわけではありません。土地としての売却が中心になる空き家では、費用をかけて調査する必要があるかを不動産会社と先に確認します。

私なら、古いという理由だけでは修理を勧めません

執筆・監修者の小野田敦士

小野田 敦士

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

まず現地と登記を確認し、建物を使いたい買主が見込めるのか、土地として考える買主が中心になるのかを見ます。ここを確認せずに内装や設備を新しくしても、その工事を必要としない買主には価格へ反映されにくいためです。

雨漏りや落下のおそれなど、待つことで被害が広がる箇所は別です。安全に関わる工事と、売るために見た目を整える工事を分けます。

家財が残っていても、傷んだままでも、現況の査定はできます。修理の見積りを頼む前でも構いません。先にいまの価格を知っておけば、工事費をかける意味があるかを考えやすくなります。

修理を前提にしない、空き家の査定

片づけや修理を始める前の状態で査定できます

  • 家財や古い設備が残る状態でも、現地を確認して査定します
  • 現況で売る場合に想定される買主と売却方法を確認します
  • 修理や解体の見積りがある場合は、査定額と一緒に見て工事が必要かを確認します
  • 相続登記が終わっていない場合は、現在の登記と相続関係から確認します

査定額と修理後の価格は、将来の成約価格を保証するものではありません。売却は選択肢の一つです。保有や活用を考えている段階でも、現況の価格を判断材料として確認できます。

修理代をかける前に、いまの状態ならどのくらいの価格になりそうかを確認できます。

空き家の現況査定を始める家財が残っていても利用できます/売却を決める前でも構いません

空き家を修理して売るか迷ったときのよくある質問

家財を全部片づけないと、査定はできませんか?

家財が残っていても査定できます。片づけに費用がかかる場合は、片づけ前の状態を見てもらい、撤去費を含む条件と、自分で片づけた場合の見通しを確認します。先に処分を終える必要はありません。

キッチンや浴室を新しくすれば、その分だけ高く売れますか?

工事費と同じ額が売却価格へ上乗せされるとは限りません。買主が自分で改装したい場合もあります。工事前に、想定する買主と修理後の価格・期間の見込みを不動産会社へ確認します。

雨漏りがあります。そのまま売り出してもよいですか?

雨漏りがあることを伝えたうえで、現況で売る方法はあります。ただし、放置すると腐食や近隣被害が広がる場合は応急措置が必要です。原因と範囲が分からなければ、建築士や工事業者へ確認します。

建物状況調査をすれば、修理した方がよいか分かりますか?

建物状況調査は建物の状態を把握する材料になりますが、修理費や売却価格を決める調査ではありません。調査結果、工事見積り、現況査定をそれぞれ確認して判断します。

先に解体して土地にした方が売りやすいですか?

土地として探す買主が中心なら有力な方法ですが、建物付きで検討する買主を外すことになります。解体前の査定を取り、解体費、解体後の固定資産税、補助金の申請時期などを確認してから決めます。