管理不全空家等の指導書が届いたら|期限までにすること
市役所から指導書が届きました。建物を全部解体しなければならないのでしょうか?
市役所から「空き家を適正に管理してください」という書面が届き、その約2か月後に「管理不全空家等に対する指導書」が届きました。指導書には、傷んだ屋根の修繕、剥がれかけた部材の除去、草刈りなどが書かれています。期限も指定されており、「対応しなければ勧告することがある」と記載されていました。建物を全部解体しなければならないのでしょうか。また、期限に間に合わなければ、すぐ過料や行政代執行になってしまうのでしょうか。
※氏名、所在地、文書番号など、個人や物件を特定できる情報は除いています。
建物全体の解体が決まったわけではありません
今回の指導書によって、建物全体の解体が決まったわけではありません。ただし、単なるお知らせでもありません。放置すれば特定空家等になるおそれがあるとして、市が空家法13条1項に基づいて改善を求めています。
まずは指導書に書かれた担当課へ、書面を受け取ったことを連絡します。市から指摘された場所と完了後の報告方法を確認し、屋根材の落下や飛散など、周囲へ被害が及ぶおそれのある部分から修繕や除去を進めます。
書面が届いたら、まずこの3か所を見てください
- 書面の名前と、書かれている法律「空家等対策の推進に関する特別措置法13条1項」とあれば、管理不全空家等に対する法律に基づく指導です。「命令」や「行政代執行」と書かれていない限り、現時点で強制的な解体を命じられているわけではありません。
- 市から求められている作業と期限修繕、危険な部材の除去、草刈り、庭木の剪定など、具体的な内容を確認します。期限は、過ぎると自動的に過料が発生する期日ではありませんが、市が改善状況を確認する重要な区切りです。
- 担当課と、作業後の報告方法電話連絡だけでよいのか、工事前後の写真や作業報告書が必要なのかを確認します。問い合わせた日時、担当者名、伝えた内容も手元に残します。
期限までに、次の順番で進めます
補修するか、解体するか、売却するかを先に決める必要はありません。まず安全に関わる対応と市への報告を進めます。
- 市へ受領の連絡をする
危険と判断された箇所、どの状態になれば対応済みと認められるか、完了報告の方法を確認します。
- 自分で屋根へ上らず、現地の状態を確認する
屋根材が剥がれかけている建物へ、慣れていない方が上るのは危険です。空き家管理業者、工務店、解体業者などへ写真撮影と見積りを依頼します。
- 落下・飛散を防ぐ措置から始める
屋根材やトタン板の飛散、庭木の枝の越境など、第三者へ被害が及ぶおそれのある部分を優先します。
- 工事前後の写真と書類を残す
同じ位置から撮った着工前・完了後の写真、見積書、契約書、請求書、作業報告書を保管します。
- 作業が終わったら、市へ報告する
自己判断で終わらせず、市が求める方法で完了を報告し、確認結果も記録します。
何もしないままにすると、勧告を受ける可能性があります
期限の翌日から50万円以下の過料が発生したり、直ちに行政代執行が行われたりするわけではありません。ただし、改善が見られなければ、空家法13条2項に基づく勧告へ進む可能性があります。
| 段階 | 起こり得ること | 費用への影響 |
|---|---|---|
| 管理不全空家等への指導 | 必要な修繕や草木の伐採などを求められる | この指導の期限を過ぎただけで、50万円以下の過料が発生する制度ではない |
| 管理不全空家等への勧告 | 指導後も改善せず、特定空家等になるおそれが大きいと判断された段階 | 敷地が固定資産税等の住宅用地特例から外れる。税額は物件ごとに異なり、必ず正確に6倍になるわけではない |
| 特定空家等への命令 | より強い措置のうち、命令まで進んだ段階 | 命令に違反した場合は50万円以下の過料の対象になり得る |
| 行政代執行 | 市が除却などを代わりに行う段階 | 過料とは別に、かかった実費を所有者等から徴収される。費用に一律の上限はない |
その時点で市へ連絡し、すでに行った応急措置、見積りを依頼した日、工事予定日を具体的に伝えます。連絡だけで期限が自動的に延びるわけではありませんが、何も伝えずに期限を過ぎないことが大切です。
相続人宛てに届いた場合も、危険な部分の修繕は先に進めます
所有者が亡くなっている場合、市が相続関係を調べ、複数の関係者へ指導書を送ることがあります。書面の宛名に記載されているだけで、最終的な所有者や相続分まで決まるわけではありません。
現在の登記名義、遺言書や遺産分割協議の有無、ほかの相続人の状況を確認します。一方で、部材の飛散防止や草刈りなど、近隣への被害を防ぐ対応は、相続の話し合いが終わるのを待たずに進める必要があります。
建物の解体や売却には、相続人や共有者の同意、相続登記が必要になるのが通常です。目の前の危険を防ぐ応急措置と、その後の不動産の処分を一つの問題として抱え込まず、順番に進めます。
私なら、まず市への報告を済ませます

小野田 敦士
- 司法書士
- 行政書士
- 宅地建物取引士
指導書が届くと、修繕するか、解体するか、売却するかまで決めなければと考えてしまいます。ただ、そこまで一度に決めようとすると、市への報告が遅れることがあります。
最初にするのは、市から指摘された屋根や草木への手当てと、その結果の報告です。その間に登記名義と相続関係を確認し、現況のまま売る場合、必要な部分を直して売る場合、解体して土地として売る場合の費用を調べます。
売るか残すかは、そのあとで構いません。まず周囲に危険が及ばない状態にしてから、査定額と必要な費用を確認します。
解体する前に、いまの状態でも査定できます
- 指導書と現地写真から、市が問題としている箇所を整理する
- 建物を残した現況のままで査定する
- 必要部分を直す場合と、解体する場合の費用を確認する
- 亡くなった方の名義なら、相続人と相続登記の状況を確認する
- 利用できる除却補助金があるか、契約・着工前に確認する
売却をまだ決めていなくても構いません。ただし、市への連絡と危険箇所への対応は、査定結果を待たずに進めてください。
所在地や建物の状態について、答えられる範囲から始められます。
空き家の査定を始める入力は約2分/売却を決める前でも利用できます管理不全空家等の指導書についてよくある質問
指導書の期限を過ぎると、すぐに過料が発生しますか?
管理不全空家等への指導について、期限の翌日から50万円以下の過料が発生するわけではありません。過料は、特定空家等に対する命令に違反した場合の制度です。ただし、期限後も改善が見られなければ、勧告を検討される可能性があります。
「修繕又は除去」とあれば、建物を解体しなければなりませんか?
書面に書かれた措置と建物の状態によります。危険な屋根材だけを修繕・除去すれば足りるのか、建物全体の修繕や解体が必要なのかを、工事業者と契約する前に市の担当課へ確認します。
遠方に住んでいても、自分で現地へ行かなければなりませんか?
必ず本人が現地へ行かなければならないとは限りません。地元の空き家管理業者や工事業者へ、写真撮影、草刈り、応急措置を依頼できる場合があります。完了報告を代理で行えるかは市へ確認します。
売却すれば、市の指導はなくなりますか?
売却しただけで、それまでの指導や勧告が必ず消えるとはいえません。所有者が変わる時点で修繕などがどこまで終わっているかを市へ確認し、建物の状態と届いている書面の内容を買主や仲介業者へ正確に伝える必要があります。
解体補助金は、指導書が届いた後でも申請できますか?
申請できる可能性はありますが、要件は自治体ごとに異なります。指導を受けていることが条件になる制度もあれば、勧告前であることが条件になる制度もあります。解体業者との契約・着工前に、所在地の自治体へ確認してください。